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長期投資家仲間へのメッセージVOL.35
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選別なくして成長なし
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2010年2月1日
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JAL破綻
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日本航空が会社更生法を申請し事実上倒産、公的資金投入で再建を目指すことになりました。日航は昭和26年の発足以来、長きにわたり日本の空の業界を牽引してきたわけですが、昭和62年の民営化以降も霞ヶ関とのもたれ合いは変わらず、度重なる経営危機でも親方日の丸体質で、「国が何とかしてくれる」とのコンセンサスの基、実に多くの不効率と非合理を内包したままついにバンザイすることになったのであります。
もちろん行政責任も多大であるのは事実で、世界の常識を遥かに超える空港着陸料を航空会社に負担させ、その資金を特別会計にプールして空港建設に充てる、道路特定財源と同じ仕組みで、気がついたら国土の狭小な我が国に98もの国内空港が出来てしまった。そこに不採算路線を就航させ、赤字運営を強いてきたのですから、真っ当な民間企業とは程遠い経営だったことは間違いないでしょう。
今や世界はオープンスカイ(航空自由化)時代、LCC(格安航空会社)もどんどん参入しての厳しい競争を繰り広げている業界にあって、天下り経営陣、高額の年金負担、8つもある労組、採算度外視路線の温存等々、日本航空はまさに20世紀政官業構造の伏魔殿のまま、とっくのとうに国際競争に生き残れる企業ではなくなっていたのです。
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JAL法的整理の是非
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今回の日本航空法的整理はプリパッケージと言われる事前調整型の破綻、公的資金投入というかたちで政府主導の再建を目指す、存続の為の救済措置でもあったわけです。
税金投入は正当化されるや否や、金融システムの混乱を避けるための大きな金融機関への公的資金投入ケースと違い、日航はあくまで民間の一般事業会社に過ぎません。世界の常識では、ナショナルフラッグキャリアと言われる大きな航空会社もこれまで数多く倒産しています。
今や自由競争の当該業界において、日航がたとえ消滅したとしても、ニーズがあれば別の航空会社が代替するはずだし、そうであってこそフェアな企業活動が担保されるはずです。真剣な経営努力を続けてきた他の航空会社が、倒産して税金で護られた会社との不当な競争を強いられるのでは、資本主義の公正なる競争条件を阻害するだけの、お邪魔な存在だと言っても過言ではありません。
それでも、これまで日本独特のスタンダードであった私的整理(つまりは銀行の債権放棄による温存型)に較べれば、今回の法的整理は大きな前進であり、政権交代があったからこその選択だと、一定の評価はすべきでありましょう。
私たちの日本は資本主義社会、その原理原則を常に逸脱し続けて来たからこそ、日本経済は成熟社会への構造改革を怠る結果となり、「失われた20年」を現出させてしまったのです。
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日本が蘇るために
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日本航空倒産を伝えていたテレビのモーニングショーの中で、お茶の間に庶民派で人気の某コメンテーターが、法的整理によって株式が100%減資され上場廃止となることを受けて、この措置を「善良な個人投資家が可哀相」と発言していました。
企業が債務超過によって破綻すれば、株主が真っ先に損失を被るのは資本主義経済の自明の理。株式投資とはリスクをとってリターンを得ていく経済行為であり、株主になるとは権利と共に義務を履行して行くことでもあるのです。
個人をすべからく弱者と規定し、そこに資本主義のルールを曲げ経済合理性も無視した保護を求め、それに迎合して来た国民と政府・行政の関係が、国民にお上任せの無責任風土を助長させ、日本経済を弱体化させる元凶となったことに、そして可哀相という情緒論だけで、自らの税金がアンフェアに配分されて来たこれまでの現実に、負担させられる側にある私たち生活者のほうこそ哀れであると、もうはっきり自覚しなければいけません。
日本は「失われた20年」の間、経営が立ち行かずに本来社会的役割を終えた大企業を、既得権益者の保身と様々なしがらみの中で、ゾンビ企業として延命させてしまいました。それは資本主義の持つ浄化作用を滞らせ、正しい競争原理を歪め、新たな参入者と産業発生へのベンチャーイズムを民間活力から奪うことになったのです。
今回の日航再建案においても、本来であれば生き残りを賭けて企業努力を続けて来た全日空やほかの航空会社に、残存者利得というかたちでのビジネスチャンスが生まれることによって、産業競争力が強まり業界が活性化されて行くはずなのです。
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生活者が創る新たなパラダイム
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経済が元気になるためには?答えは単純です。企業が元気になることです。企業が活力を取り戻せば、設備投資も増えてそこへの需要も生まれます。そして企業業績が上がってくれば、そこに働く側の給料も増えるし、新たな雇用も発生します。働く側である私たちの収入が上がれば、今度は使う側としての私たちの消費が活発になることでしょう。そうすれば供給する側の企業ももっと元気になる。こうして経済成長の好循環が形成されるのです。
そのためには、自力で競争出来ないダメな企業がきちんと淘汰され、市場の選別に残った強い企業が更に強くなって行ける経済構造と社会環境が求められます。
国に政治にと頼っていたら、あっという間に20年もの時間を失ってしまいました。となれば、私たち生活者が自ら淘汰と選別を厳しく実行し、行動を起こして行くのみです。
いかにも長期投資とは、これを徹底して続けて行くことに他なりません。
2010年はパラダイムシフト元年、長期投資マインドが生活者への行動を促し、生活者の長期投資は構造変革の呼び水となれるのです。
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セゾン投信株式会社
代表取締役社長 中野晴啓
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