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長期投資家仲間へのメッセージVOL.38
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「国民のお金に生活者の意志を!」
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2010年5月7日
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ギリシャ問題の本質
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世界の金融市場が俄かにギリシャの財政危機を端緒として揺れています。但しこの現実は突如露見した問題ではなく、統一通貨ユーロがその経済圏の拡大を続けて行く中で内包していた構造的矛盾であり、ユーロ圏経済の域内格差を糊塗するため、その弱い国の代表たるギリシャが背伸びした結果による放漫財政のツケを、いよいよ払う番が廻ってきたという事です。
統一通貨ユーロを継続させようとするならば、こうした格差矛盾の詰め腹はその中のどこかが切らねばならず、それは独・仏という強い経済の国の支援負担が強いられるという結論であり、政治的判断に鑑みれば、統一ユーロ実現というルビコン河を渡ってしまった以上、域内経済格差が収斂するまでずっと続く構造でありましょう。
もっともギリシャ問題単体は、ユーロ圏全体から見れば取るに足らない経済規模であり、ギリシャの支援は早晩決着が着くであろうと思いますが、大陸欧州の将来戦略という観点では、この構造問題は今後の大きな論点となることでしょう。
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対岸の火事でない日本の現実
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さて、今ギリシャの財政赤字が金融市場の標的になっているわけですが、その政府債務の残高は国内総生産(GDP)の115%、その程度はG7経済大国の劣等生と言われるイタリアのそれとほぼ同じです。ところが我が日本の政府債務はといえば、年々増加を続け、2009年の残高はGDPの約2倍にまで拡大し、世界を圧倒するスケールなのであります。
その数値からすれば、ギリシャ問題は日本にとって決して対岸の火事ではなく、その唯一にして最大の違いは、ギリシャが借金の7割を外国に頼っていたのに対し、日本ではそのほとんどが国内資金で賄われているということなのです。つまり日本の凄いところは、莫大なる個人金融資産があることによって、めぐり廻って我が国の国債発行が日本人マネーで、苦もなくしかも超低金利で消化できてしまうという実状にあるのです。
しかし国民のお金にも限りがあります。日本は今でも子供手当てや高校無償化などバラマキ放漫財政を続けていますが、この状態は決して続けられないと世界も気付き始めました。本当に国債が国内で消化出来なくなった時には、恐らく円は大暴落を避けられないでしょう。
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郵便貯金の使い途
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日銀による直近の統計では、日本の個人金融資産は1,456兆円、そのうち預貯金は803兆円にまで拡大しました。昨年を通じ、毎月1兆円規模で預貯金勘定が増加するのと軌を一にして国内消費は落ち込み続け、とうとう35兆円と言われる程深刻なデフレギャップが発生しています。これは明らかに将来を憂いて不安を募らせる生活者の、各々は合理的な自己防衛行動が、結果として社会全体を悪化させるという「合成の誤謬」に繋がっています。
まずはこのお金の流れを堰き止めないと、日本経済は停滞しデフレが進行し続けることは明らかです。にもかかわらず、現政権は郵政民営化見直しに着手し、郵便貯金の限度額を一気に2倍の2000万円に引き上げ、「合成の誤謬」を加速させようとしています。民間銀行の預金勘定でさえ大幅な余剰資金を抱え、126兆円という巨額が国債購入に充当されています。あまつさえ残高の8割以上が国債となっている170兆円もの郵貯が更に国民から資金を吸い上げるという構図は、とりもなおさず此の先の赤字国債消化の受け皿狙いだと見なさぬわけにはいきません。
これは結果的に国家財政の伏魔殿と言われた財政投融資の実質的な復活と同じであり、「合成の誤謬」などどこ吹く風で、既得権益者の延命と今だけを取り繕うための無定見な財政支出を促進することになってしまうのでしょう。
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意志を持ってお金を動かす
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かつて日本は、江戸幕府という武家社会を否定し壊したからこそ、明治維新が達成出来たのです。また第2次大戦後は、軍部による全体主義社会が壊滅したことで、20世紀高度成長が実現されたのです。
私たち生活者は今こそ、この20世紀構造を主導し支配してきた体制の、賞味期限が切れた慣習や文化・常識を最早受け入れられぬという意志表示をしなければなりません。
現在の日本が、世界に冠たる放慢財政国家となり果てているのは、国の財政管理を仕切った20世紀構造を引き摺っているからであり、それでも尚、放慢財政が止まらぬのは、私たち生活者自身の無責任に帰することなのです。
国債消化という蛇口にもう水は送らぬという意志を示す権利を、私たち生活者は有しています。同時に生活者自身が、自分たちのお金を自らの意志で活用して、社会を元気にする権利も同様であるはずです。
「預貯金で安心」という前世紀の洗脳から解き放たれて、自らの意志でお金を使う!無論消費はその第一でありますが、その先に社会に向けた投資というマインドが備わることによって、私たちのお金は元気に働けるようになります。
生活者自身が此の先の社会の在り方に向けた意志を投影する投資=本物の投資=長期投資、に向けて一斉に動いたなら、本当に新たなる変革、生活者維新が実現するでしょう。
日本はギリシャとは全然ちがう、20世紀の頑張りによって築いた莫大な生活者の財産=お金があるのです。この財産は使い途ひとつで社会を一気に元気にし、世界中からのお金を集められるパワーとスケールも持っているのです。
まだまだチャンスは大有りです!それも生活者次第!そして私たち長期投資家はその維新の先頭を走るのです。
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セゾン投信株式会社
代表取締役社長 中野晴啓
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