セゾン投信中野晴啓の今日から始める長期投資 第3回 コストを徹底削減、直販投信の“元祖”と握手
長期投資では、わずかなコスト差が、将来の大きな運用差に直結します。だから顧客のために、徹底的にコストを安くしないといけない。米バンガードと提携できたのは、この哲学ゆえです。
現在、セゾン投信には「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」という2つの商品があります。
前者はインデックスファンドを組み入れたパッシブの商品、後者はアクティブの商品です。2007年3月からこの2本立てでスタートしています。
運用では、お金を預ける側の人と、将来に向けての夢を共有していくことがとても大切です。運用の中身というのは、将来どんな社会になっていくかというビジョンが反映されていなくては、投資する側も楽しくないわけです。それを一番具現化するのはアクティブファンドです。
とはいうものの、やはりわかりやすく、自然体で世界の経済成長をとりこめるインデックスファンドも魅力があります。
インデックスファンドを扱っているのは、独立系の投資信託会社では我々だけです。ここがセゾン投信の第1の特長で、長期投資にはいろいろなソリューションがあってよいのではないか、と考えています。
もうひとつの特長は、バンガードとの提携です。バンガードという会社は、インデックスによる長期投資を米国に広めることで大きく成長した会社です。
我々も新会社を始めるにあたって、当然、バンガードを意識しましたし、徹底的に学びもしました。
そのうえで、バンガードの良さをぜひ日本の投資家に提供したいという思いがあって、この提携に至りました。
バンガードは、どんなに大手であっても、販売手数料を取る会社とは組みません。米国では、彼らはとてつもない巨大なコールセンターを持って、非常にコストの低い商品を自分たちの手で売っています。“元祖直販”です。
つまり長期投資では、徹底的にコストを安くしないといけない、それは全部顧客のためという考え方です。
この理念に合致する運用会社は日本では、そうはありません。そのバンガードと握手できたということと、コスト面での企業努力、売上、ビジネスモデルなどが評価され、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は2007年日経優秀製品・サービス賞最優秀賞金融サービス賞を受賞致しました。
2本のファンドのどちらも、私ども運用会社の取り分は0.4~0.5%くらいなので、採算でいえばギリギリです。
直販にすれば人件費などのコストもかかりますし、販売手数料も取れないわけですから儲かりませんよね。大変ですが、長期投資での手数料は、投資家にとっては非常に重要です。
30年、50年運用しましょうということであれば、1%の違いが、トータルで30%、50%違うわけですよね。これが複利で効いてきたら大変なことになります。
長期投資にとって、コストは命の次くらいに大事。そう考えると、販売手数料を無料にし、信託報酬を抑えるというのは、私たちとして譲れない部分だったと考えています。
※本コラムは2009年1月~4月まで「Oh!MyLife」サイトに掲載されていたものを一部訂正のうえ掲載しております。
(構成=石田直子)