【独身】老後資金はいくら必要になる?賢く備える方法とは

独身の老後資金はいくら必要になる?賢く備える方法とは

退職後の充実した日々のためには、生活費に加え、自分の介護費や葬祭費などの老後資金を準備しておくのがおすすめです。自分らしい老後のライフスタイルにむけて、必要額を把握し、計画的に進めていきましょう。

今回は、独身の方の老後資金にフォーカスして「どのくらいの額が必要なのか」「どのようにして備えていけばよいのか」を紹介します。

目次

独身で老後に必要な資金はどれくらい?

独身で老後に必要な資金はどれくらい?

厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09 歳です。さらに、女性は約4分の1が95歳に達するという調査結果になっています。

老後資金の準備をスムーズに進めるには、大まかな老後の期間に加え、必要な資金の内訳を把握しておくことが大切です。老後資金の主な内訳としては、毎月の生活費・自分の介護費用・葬儀やお墓の費用などが挙げられます。

当記事では、内訳ごとに「どのような費用なのか」「どれくらいの金額が目安になるのか」などをご紹介します。ぜひ老後の資金計画にお役立てください。

出典:「令和4年簡易生命表の概況」 (厚生労働省)

毎月の生活費

老後資金として準備しておくべき費用の代表格が、毎月の生活費です。ここではお仕事を退職された後の期間を想定し、65歳以上単身無職世帯のデータを参照します。

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上単身無職世帯の一般的な月々の生活費は、合計155,495円となっています。月々の生活費の内訳を見てみましょう。

65歳以上の単身無職世帯における毎月の生活費は【合計 155,495円】
消費支出 143,139円
(消費支出の内訳) 食料 26.2%
住居 8.9%
光熱費・水道 10.3%
家具・家事用品 4.2%
被服類 2.2%
保険医療 5.7%
交通・通信費 10.2%
教育娯楽 10.1%
その他 22.3%
非消費支出 12,356円
合計 155,495円

※参考:「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」 (総務省統計局)

これに対し、毎月の実収入は134,915円となっています。

先ほどの1ヶ月あたりの支出額合計155,495円と比べると、毎月20,580円の赤字になる計算です。年間では246,960円も不足しており、計画的に老後資金を準備しておく必要性がうかがえるでしょう。

なお、住居費については、持ち家かどうかなどそれぞれの住居の状況によって想定すべき金額が変わる点に注意が必要です。

例えば、持ち家に住んでいてローン返済を終えている場合でも、固定資産税を負担しなければなりません。また、賃貸住宅なら家賃の考慮が必要です。(上記の調査では住居費の割合が1割未満であることからわかるように、持ち家を前提とした支出といえるでしょう。)

さらに、住居環境を整えるための費用も念頭に置いておくとより有意義でしょう。老朽化した箇所のメンテナンスやバリアフリー化などで、別途費用がかかるケースが考えられるからです。

このように、月々の生活費には基本的な費用に加えて、状況に応じた費用も含まれる点を踏まえておくと良いでしょう。

自分の将来に必要な介護費

老後資金として準備すべき費用には、自分の将来に必要な介護費も含まれます。生活保険文化センターによると、介護にかかる平均的な費用は下記のとおりです。

介護にかかる平均的な費用
毎月の費用 8.3万円
一時的な介護費用 74万円

※参考:「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?|リスクに備えるための生活設計」 (公共財団法人 生活保険文化センター)

なお、生活保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護期間は平均5年1ヶ月(61.1ヶ月)となっています。

この期間にかかる介護費用の月額の合計は、先ほどの平均介護費用月額をもとに計算すると507万1,300円(8.3万円×61.1ヶ月)です。そして介護期間が長いほど、介護費用の負担も当然に増します。

加えて、仮に要介護状態になった場合に必要な介護サービスを受けられるよう、一時的な介護費用についても意識しておくと良いことがわかるでしょう。

出典:「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」 (公共財団法人 生活保険文化センター)

葬儀やお墓購入費

自分の葬儀やお墓を購入するためにかかる費用も、必要な老後資金の一つに挙げられます。

株式会社鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査」によれば、葬儀にかかった平均相場は約110.7万円でした。

また、お墓購入にかかった費用は平均で約135万円という結果が、同「第4回お葬式に関する全国調査」で公表されています。よって葬祭費用の合計相場は約245万円という参考値が見えてきます。

ただしこれらの費用も状況によって大きく変わります。例えば、すでに代々のお墓があれば、お墓の購入費用は不要です。また葬儀に関しては、希望のオプションや形式に応じて費用が大幅に増減します。これらを念頭に想定しておくと良いでしょう。

出典:
「第5回お葬式に関する全国調査」 (株式会社鎌倉新書)

「第4回お葬式に関する全国調査」 (株式会社鎌倉新書)

独身で老後資金をどれくらい備えている?

独身で老後資金をどれくらい備えている?

基本的な老後資金を列挙したところで気になるのが、一般的にはどれくらいの金額を準備しているのか、という点ではないでしょうか。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、60歳代単身者の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は下記の通りでした。

  • 未平均値:1,388万円
  • 中央値:300万円

調査結果から、老後資金を1,000万円前後準備しているケースも一定数以上ある一方で、1,000万円に満たないケースが多くを占めていることがわかります。

とはいえ、老後できる限り安心して楽しく暮らすために必要な資金は年金受給額や実現したいライフスタイルによって変動します。平均値や中央値はあくまで参考として、まずはご自身の年金・家計の状況を把握してみるのがおすすめです。

出典:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」 (金融広報中央委員会)

老後資金を準備するには

独身で老後に必要な資金はどれくらい?

次のようなポイントを押さえれば、自分の状況やライフスタイルに合った老後資金を準備できるでしょう。

老後資金を準備するために押さえたいポイント

  • 年金の確認をする
  • 家計の見直し
  • 投資で老後資金を準備する

以下では、それぞれの実践方法を解説します。

年金の確認をする

老後資金を準備するにあたっては、最初に年金の受給額を確認しましょう。年金を毎月どれくらい受け取れるのかによって、準備すべき金額も変わってくるからです。

原則として、年金は65歳から受け取れます。また、厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均的な受給額は下記のとおりです。

  • 厚生年金:月額約14万5,000円
  • 国民年金:月額約5万6,000円

自分の年金受給可能額は「ねんきん定期便」で確認できます。ねんきん定期便は、日本年金機構から毎年誕生月にハガキや封書で届きます。

もし、年金受給額が想定していたより少ないと感じたら、年金の繰下げ受給を検討してみるのも良いでしょう。年金の受給開始時期を65歳から一定期間(66〜75歳※)、1か月単位で遅らせることができ、その後の受給額を増額できます。

※1952/昭和27年4月1日以前に生まれた方は70歳が上限

出典:「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 (厚生労働省)

家計の見直し

老後資金を貯めるには、家計をチェックしつつ固定費の見直しも有効です。不要な年会費や月額サービス、スマホの料金などの見直しは、地味であるようで長い目で見れば相当の節約につながるかもしれません。

家計の見直しで抑えられた費用は余裕資金ととらえ、老後資金専用の口座に貯めていく方法もあります。また、勤務先に財形年金貯蓄や確定拠出年金がある場合は、通常の貯蓄よりも税制面で有利な条件が設定されているケースが多いので検討してみるのも良いでしょう。

投資で老後資金を準備する

老後資金の効率的な準備には、投資を活用した資産形成も一手です。

なかでも、より着実に目標額を目指したい老後資金準備には、投資のリスクを分散してくれる投資信託×積立がおすすめです。投資信託には投資先を分散、積立による投資は時間(期間)を分散する効果があり、価格変動などのリスクを低減できるからです。

さらに、2024年1月からは新NISA制度が始まり、現行NISA(記事公開当時/~2023年)では上限のあった非課税保有期間が無期限化・投資枠が拡大するため、長期間の投資に適した環境が金融庁の主導でつくられていきます。なおNISA制度は新旧ともに金融庁が定める基準をクリアした商品が対象ですが、セゾン投信の投資信託はすべて対象(※1)です。

関連記事:新NISA(少額投資非課税制度)とは

関連記事:新NISAにはどんなデメリットがある?うまく活用する方法を解説

「長期投資」の恩恵を受けやすくするためには、可能な限り早く始めて投資期間を長くしておくのもポイントです。興味のある方は、早めの活用を検討してみると良いでしょう。「何年でいくらくらいになるかイメージしてみたい」時は、セゾン投信の「積立投資・取り崩しシミュレーション」(※2)をご活用ください。

また、将来の取り崩し(現金化)時には、定期換金サービスの「セゾン定期便」がおすすめです。「運用を続けながら取り崩す」発想で定期的に必要な分だけ取り崩しつつ、残りは運用し続けられるので、長期投資の恩恵を期待できる環境が続きます。

\将来のお金はどうなるの?/

\コツコツつみたて、コツコツつかう!/

※1 セゾン・グローバルバランスファンド、セゾン資産形成の達人ファンドは「つみたて投資枠」・「成長投資枠」の両方、セゾン共創日本ファンドは「成長投資枠」のみで購入できます。

※2 シミュレーション結果について
計算結果の数値は、小数点以下を四捨五入しています。また、税金等諸費用は考慮しておりません。
想定利回り(年率)に基づき、月に一回の複利計算をしています。
シミュレーション結果は将来起こりうるマーケットや社会の変動等が網羅されているわけではなく、その正確性、完全性や将来の成果を保証するものではありませんので、あくまで1つの参考としてご活用ください。
モンテカルロ法を用いたシミュレーション結果の表示について
シミュレーション結果については、資産クラスのリターン、リスクに応じてモンテカルロ法を用いた資産額の上限・下限を信頼係数80%で表示しています。

まとめ

独身の老後をより楽しむためには、毎月の生活費・自分の介護費用・葬祭費用などの資金を計画的に準備しておくのが大切です。

  • 年金受給額の把握
  • 家計および年会費などの定額費用の見直し
  • 長期投資やNISA制度の活用

上記のポイントなどを押さえ、早いうちに始めるほど余裕をもった老後資金形成につながるでしょう。退職後も自分らしく暮らすために、ぜひできそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。

監修

セゾン投信 事業戦略部 山根尚之

日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、2級ファイナンシャルプランニング技能士。マーケティング戦略・推進統括のほか、セミナー講師として初心者からベテランまで幅広い層へ投資信託に関するノウハウを届けている。2児の父でもあり、週末は少年野球に没頭中。