研究レポート

初心者向け 投資心理学
なぜ投資で失敗するのか?感情に左右されない「つみたて投資」のコツ
つみたて総研 主任研究員 K
ルールと分散がポイント
お金と心のしくみを
知ることから始めよう

お金って、何のためにあるのでしょう?
「お金」と聞くと、買い物をしたり、貯金したりするためのものと思うかもしれません。でも実は、お金にはもっと深い役割があります。
たとえば、嫌な仕事を無理に続けなくてもいい選択肢を持てるようになりますし、また、自分や家族を守る盾にもなり、病気や災害など予期せぬ出来事に備える力になります。
だからこそ、お金を「増やす」ことには意味があります。
でも、みんなと同じことをしているだけでは、同じ結果しか得られません。
資産を増やしたいなら、リスクを取る必要があります。
ただし、上手にリスクを取ることが大切です。では、その「上手なリスクの取り方」とは何でしょうか?
株価が乱高下する理由
ニュースで「株価が暴落!」という言葉をよく聞きますよね。
でも、なぜ株価はそんなに激しく動くのでしょう?それは、人間の感情が大きく関係しています。
株価が上がると「もっと儲かるかも!」という欲が出て、みんな買いに走ります。
株価が下がると「損したくない!」という恐怖で、みんな売って逃げます。
このように、短期的な株価は企業の実力ではなく、人々の心理によって動いているのです。一方で、長期的な株価は企業の本当の価値を反映すると言われています。
なぜ人は冷静に投資できないの?
人間の脳は、進化の過程で「本能的な部分(最も原始的な部分で、呼吸、循環、運動、そして生存に関わる本能的な反射を司る脳幹等)」と「理性的な部分(大脳皮質)」が組み合わさってできています。
本能的な脳は、危険を感じるとすぐに逃げたり、チャンスを感じるとすぐに飛びついたりします。
これは人類が生き延びるためには役立ちましたが、投資では逆効果になることが多いです。
たとえば、株価が上がると「もっと上がるかも!」と買いすぎてしまい、下がると「もうダメだ!」と売ってしまう。これを繰り返すと、高値で買って、安値で売るという最悪のパターンになってしまいます。
心の筋トレ
そこで、感情に左右されないための投資方法として登場するのが「つみたて投資」です。
つみたて投資とは、毎月決まった金額をコツコツ投資する方法です。
これにより、「欲」や「恐怖」に振り回されず、冷静に投資を続けることができます。
これはまるで、心の筋トレ。感情に流されないよう、自分をコントロールするための習慣になるでしょう。
分散投資
ただし、つみたて投資にも注意点があります。投資先は分散することが大事!
たとえば、暗号資産のように値動きが激しいものだけに投資すると、感情が揺さぶられてルールを破ってしまうかもしれません。ほかに、価値がなくなる可能性のある資産は避けることも大切です。
1990年代後半の我が国では、大手金融機関の破綻が相次ぎました。そのような会社で働いていた人々の中には自社株に集中投資し、失業と同時に資産も失ったケースもありました。
だからこそ、投資先は世界中の値動きの異なる資産に分散投資することが大切です。世界中にリスクを分散し、リスクでもってリスクを制するのです。
急がば回れ
最後に、投資は「お金を増やす」だけでなく、「自分の未来を守る」ための手段です。格言で「急がば回れ」と言われるように感情に流されず、ルールを決めて、コツコツ続けることが成功への近道です。