年代別NISA活用法 こどもNISA編
公開日:
2026年度税制改正大綱により、2027年から0~17歳が対象の「こどもNISA」が誕生する見込みです。
これは、子どもの名義で、将来に向けた資産づくりができる非課税制度です。
この記事では、こどもNISAの活用法について考えます。
※本稿は2025年12月26日に閣議決定された税制大綱をもとに執筆しており、「こどもNISA」は仮称となります。
目次
2027年こどもNISAスタート~成人用NISAとどう違う?~
まずは現行のNISA(以下「成人用NISA」)について簡単におさらいしましょう。
成人用NISAは、国民の資産形成を後押しするために2014年1月にスタートした制度。
通常、株式や投資信託の配当・分配金や売却益には約20%の税金がかかりますが、成人用NISAではこの税金がかかりません。
18歳以上が口座を開設でき、長期運用に適した投資信託を積立で運用する「つみたて投資枠」と、株式や投資信託など対象商品が幅広い「成長投資枠」という2つの枠を併用できる仕組みです。
今回新設される「こどもNISA」は、成人用NISAの「つみたて投資枠」と同様に、長期運用に適した投資信託を積み立てて運用します。
ただし、投資金額には違いがあり、成人用NISAの年間投資枠が最大120万円なのに対し、こどもNISAは最大60万円(月額にすると最大5万円まで積立が可能)。
また、非課税保有限度額も成人用NISAが1,800万円のところ、こどもNISAは600万円となる見込みです。
18歳になると、こどもNISAの残高は成人用NISAのつみたて投資枠に自動的に移行されるので、その後も無期限で非課税での運用を継続することができます。
こどもNISAは、原則として子どもが12歳になるまでは自由に引き出すことができません。
12歳以降は、一定の条件を満たした場合に限り、教育費や生活費として引き出すことができます。
その場合、口座を管理する親権者などが、「①子どもが同意していること」「②使途が子どもの教育費や生活費であること」を証明した書類を金融機関に提出する必要があります。
さて、こどもNISAと似た制度に、2023年に終了した「ジュニアNISA」がありました。
未成年が非課税で資産運用できるという建て付けは同じですが、5年間限りの非課税運用期間や18歳までの引き出し制限などがあり、十分に普及しないまま終了しました。
こどもNISAは、幼少期からの資産形成として、より利用しやすい制度に進化しています。
こどもNISA活用術4選
こどもNISAは、どのように活用するとよいのでしょうか。目的別の活用方法を考えてみましょう。
①子どもの教育費の準備
将来の高校進学や大学進学に向けて、時間をかけて資金を準備したい家庭に向いています。
学資保険や個人向け国債など、教育費を準備するための金融商品はさまざまです。
その中で、投資信託による長期的な資産形成を通じて教育費を準備したいと考える場合に、こどもNISAを活用するという選択肢があります。
親の成人用NISA口座で教育費を準備しようとすると、いつでも売却ができるため、ほかの用途に使ってしまう懸念があります。
こどもNISAなら、子どもが12歳になるまでは引き出しができません。
大学進学資金をはじめ、中学受験や高校進学の費用として、切り分けて積み立てていくことができます。
ただし、投資は想定通りの運用ができないことがあるため、教育費のすべてをまかなうのではなく、あくまで一部にとどめることが大切です。
②子どもの将来のために積み立てておく
教育費以外にも、子どもの自立や将来の選択肢を広げるために資金を準備しておきたい家庭に向いています。
すでに子どもの教育費の目処が立っているような場合、具体的な使いみちを決めずに「子どものため」という漠然とした目的でお金を積み立てておくこともできるでしょう。
大学卒業後の自立資金にしてもいいですし、18歳時点で運用益が出ていないようなら、成人用NISAで継続する選択肢もあります。
結婚資金や住宅購入資金としていつか必要になるときまで貯めておくなど、使う予定が決まっていないからこそ柔軟な活用が可能となります。
③こどもNISAで金融教育
子どもにお金や投資について、知識だけでなく体験を通じて学ばせたいと考えている家庭に向いている活用法です。
小学生高学年にもなると、投資について段々と理解ができるようになります。
資産運用の重要性を学ぶためのツールとしてこどもNISAを利用するのも一考です。
最初は、投資の仕組みや長期・積立・分散投資の効果を教えるために、親のサポートが必要となるでしょう。
まずは、親が運用しておいたこどもNISAや、親の成人用NISAの成績を見せ、投資を身近なものにすることから始めてみましょう。
「1年間で資産にどのような変化があったか」、「投資をしなかった場合と比べてどうか」などを親子で共有し、お金に関する対話を増やしていくとよいでしょう。
投資資金については、子どもが小さいうちは親が出す必要がありますが、中高生くらいになれば本人に考えさせてお小遣いやお年玉を一部入金してもいいですし、高校生になればアルバイト収入から一部を運用に回すこともできます。
18歳以降は、積立を継続するのか、使うのかを子どもにまかせてみてもよいでしょう。
投資で大切に育てたお金をどう使うか考えることで、お金との適切な付き合い方、価値観を育む一助になるはずです。
学校で金融教育を受けることと並行して、こどもNISAで実体験を積むことで、投資を“自分ごと”として捉えられるようになります。
ライフプランニングの土台となる資産運用の重要性が理解できれば、金融教育としては成功といえるのではないでしょうか。
④こどもNISAを利用して世帯の非課税投資枠を拡大
すでに夫婦で成人用NISAを活用しており、余裕資金で子どもの将来も見据えた資産形成を考えている家庭に向いています。
世帯(夫婦など)の成人用NISAの枠を使い切りそうで、まだ運用資金に余裕がある場合には、こどもNISAも活用することで、子ども1人につき世帯の非課税投資枠を600万円増やすことができます。
たとえば、夫婦と未成年の子ども2人の家族は、世帯の非課税投資枠が最大4,800万円に拡大します。
この場合、親から子どもに贈与した資金がこどもNISAの原資となります。
親が自分の資金で子ども名義の口座で取引をすること(借名取引)は禁止されていますので、注意が必要です。
引き出し制限のデメリットをどう克服する?
こどもNISAは、子どもが12歳になるまでは資金の引き出しができませんが、それによるデメリットはあるのでしょうか。
ひとつ挙げるならば、幼稚園受験や小学校時代の習い事などには活用できない点でしょう。
これらの費用には、こどもNISA以外の預貯金や金融商品などで備える必要があります。
一方で、こどもNISAはつみたて投資枠の延長であり、もともと短期的な売買は目的とされていません。
積立投資は運用期間が長ければ長いほど、価格変動リスクを軽減させることができます。
こどもNISAにおける引き出し制限は、むやみな取り崩しの抑止力となります。
コツコツと資産形成をするための制度として、自由に資金を引き出せないことはメリットと言い換えることができるのです。
まとめ
こどもNISAが誕生すれば、資産形成の選択肢が増え、家計全体で「お金を色分け」をしやすくなります。
それぞれの家庭の事情に応じた、こどもNISAの活用を考えてみましょう。
【参考資料】
令和8年度税制大綱
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
金融庁 令和8年度税制改正について
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf
\あわせて読みたい/
\お金やライフプランの相談窓口/
ライタープロフィール
酒井 富士子
経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。ファイナンシャル・プランナー
上智大学卒業。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。近著に『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)、『お金の増やし方ぜんぶわかる!新NISA超活用術』(Gakken)など多数

