2026年7月号 Vol.232
目次
今月のひとこと

Vol.232
「何に投資しないか」という判断 ~ REITとコモディティを組み入れない理由~
先月は、運用哲学を投資戦略として“かたち”にするという考え方とともに、私たちが新興国債券に投資しない理由をご説明しました。投資で重要になるのは「何に投資するか」だけではありません。「何に投資しないか」という判断も同じくらい大切です。今月はセゾン・グローバルバランスファンドにREIT(不動産投資信託)とコモディティを組み入れない理由についてご説明します。
金利上昇がREITに与える影響
REIT制度は世界に広がりつつありますが、導入されている国はまだ限られています。先進国であればスイス、新興国であればミャンマー、チェコなどにはありません。また、日本や米国などの主要市場では、不動産関連企業はすでに株式指数の中で業種として組み入れられています。そこにさらにREITを加えると、不動産への投資比率を市場平均以上に高めてしまう可能性があります。
加えて、足元では世界的に金利が上昇しています。REITは構造的に借入への依存度が高いため、金利上昇は資金調達コストの増加につながり、収益を圧迫する要因となります。また、保有物件の築年数の経過によって価値が低下する場合もあります。
さらに、REITは株式と比べて価格変動が大きくなる局面もみられ、安定性を補完する資産とは言い切れません。
加えて、全世界のREIT市場の規模は、株式市場の2%以下に過ぎません。これらを踏まえ、REITは長期投資の軸というよりも限定的な役割を持つ資産と捉えています。そのため、セゾン・グローバルバランスファンドでは組み入れていません。
価格変動の大きいコモディティ
次にコモディティ(貴金属、食料品、原油など)についてです。
コモディティは、インフレ時の価値保全や不安局面での避難先としての役割はありますが、一般的に長期的に自ら価値を積み上げていく性質は強くないと考えています。
例えば21世紀において最も値上がりした投資資産の「金」を例に考えてみます。金は確かに大きく値上がりしましたが、その背景にはインフレの進行や金融・地政学的な不安の高まりに伴う需要増加があります。つまり、新たな付加価値が生み出されたというよりも、需給環境の変化によって価格が押し上げられてきた側面が大きいと考えられます。こうした特徴は、市場規模の違いにも表れています。世界全体の市場規模(時価総額)で見ると、依然として株式市場の方が大きな存在です。足元では、世界の株式市場はおよそ160兆ドル規模に達している一方、金の市場規模は概ね30兆ドル規模と推計されており、株式は金の4倍以上の大きさを持っています。なお、10年前は10倍程度の差がありました。
株式市場の拡大は、企業の成長や経済活動を通じて価値が積み上がることで生まれます。コモディティの市場規模は株式に比べて小さく、一般には市場規模が小さいほど資金の流出入による価格変動の影響を受けやすく、値動きも大きくなります。
このように、コモディティは価格変動への依存度が高く、長期的に価値を積み上げる資産とは性質が異なるため、セゾン・グローバルバランスファンドでは組み入れていません。
シンプルな資産配分が生み出す価値
ここまで見てきたように、「資産クラスを細かく増やせば分散効果が高まる」という考え方には誤解が含まれています。重要なのは数ではなく、それぞれの資産が担う役割が明確であることです。
セゾン・グローバルバランスファンドでは、成長エンジンとしての全世界株式と、安定性を確保する安全性の高い先進国債券のシンプルな組み合わせが長期投資において堅実な資産運用につながると考えます。
物事をシンプルにすることは、一見すると容易に思えますが、実は高度な判断が求められます。仕事においても、足し算より引き算の発想の方が成果につながることは少なくありません。
「シンプル=物足りない」ではなく、「シンプル=高度で堅実」と、私たちは考えています。
そのようにご理解いただき、今後もセゾン・グローバルバランスファンドを通じた資産運用に取り組んでいただければ幸いです。
特集

セゾン共創日本ファンドは2026年6月10日に第5期決算を迎えました。
運用報告書の公表に先立って、皆さまに決算速報をお知らせいたします。
第5期決算(2026年6月10日)

| 基準価額(期末) | 17,534円 |
|---|---|
| 純資産総額(期末) | 81.2億円 |
| 騰落率(第5期) | +37.0% |
(2026年6月10日時点)
- 当ファンドには、ベンチマークはありません。
- 分配を行っていないため、分配金再投資基準価額は表示していません。
- 表示されている基準価額が、ファンド運用の実質的なパフォーマンスを示すものです。
- 上記騰落率は、小数点以下第1位未満を四捨五入して表示しています。
投資環境について
期中の日本の株式市場は、大きく上昇しました。
昨年6月から7月にかけては、米国景気や米中関係、中東情勢を巡る懸念と楽観が入り混じるなか、日銀の金融引き締め観測後退や米中交渉への期待、日米関税交渉の合意などを背景に、相場は不安定さを残しつつも上昇に転じました。夏場以降は、米利下げ観測や堅調な景気、好決算などを支えに上昇基調が強まり、AI・半導体関連株が相場を牽引しました。秋口から年末にかけても、リスク選好の高まりや高市政権誕生による政策期待などを背景に上昇が続き、日経平均、TOPIXはいずれも断続的に最高値を更新しました。11月にはAI関連株の調整が見られましたが、バリュー株が支えとなり相場全体は堅調を維持し、12月以降も日銀の慎重姿勢や政治安定への期待が株価を下支えしました。年明け後も最高値更新の動きは続いたものの、3月には米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けて原油価格が大きく上昇し、戦闘激化への警戒感からリスク回避姿勢が強まったことで、株式市場は大きく下落しました。その後、4月以降は戦闘終結期待と米ハイテク株の回復を背景に再び上昇しました。全体として、AIテーマ、金融政策、政治要因、地政学リスクが交互に影響しつつも、好材料が上回る形で上昇トレンドが形成された1年でした。
ポートフォリオマネージャーからのメッセージ
日本株式市場は企業業績の改善やコーポレートガバナンス改革などを背景に大きく上昇しております。また、AI関連や半導体関連の一部銘柄については非常に高い市場評価が付与されておりますが、当ファンドは長期的な視座のもと、将来の企業価値の向上に着目した運用を行っております。短期的な市場の変動に左右されることなく、引き続き丁寧にボトムアップリサーチを行い、外部環境ではなく企業固有の成長要因に着目して、より長期的に利益が成長する可能性を秘めた企業に厳選して投資を行ってまいります。
セゾン共創日本ファンド
ポートフォリオマネージャー 岩下理人
※「投資環境について」「ポートフォリオマネージャーからのメッセージ」は運用報告書からの抜粋となります。全文は第5期運用報告書(7月下旬公表予定)をご覧ください。
セゾン共創日本ファンド 第5期運用報告会
2026年10月3日(土)大阪、10月17日(土)東京(会場とオンラインのハイブリッド予定)にて開催を予定しております。詳細はホームページ等でお知らせいたします。
投資クイズ100本ノック

今回は、債券に関する出題です。
Q. デュレーションの正しい説明はどれでしょう? (難易度:★★★)
- 債券の元本が返ってくるまでの期間
- 債券でもらえる利息の高さを表す値
- 債券に投資した金額を回収するまでの平均期間
A. 3
デュレーションとは、債券から受け取る利息(クーポン)や償還金をもとに、投資した資金を平均的にどのくらいの期間で回収できるかを示す指標です。単位は年で表され、一般的に債券の利息が高ければ、デュレーションは短くなります。
運用レポートで、セゾン・グローバルバランスファンドに組み入れられている債券の平均デュレーションを確認してみましょう。
https://www.saison-am.co.jp/pdf/fund/global/report/report1_2607.pdf (5ページ)
- 満期までの残存期間の説明です。満期とは債券を発行した国や企業が、投資家に元本を返済する日(償還日)のことです。
- クーポンの説明です。クーポンとは、債券から定期的に受け取る利息のことです。
〈セゾン共創日本ファンド〉銘柄のご紹介

投資先企業を、セゾン共創日本ファンド ポートフォリオマネージャー岩下が独自の視点でご紹介いたします!
富士通
富士通株式会社は1935年、富士電機の通信部門が独立する形で創業され、日本初の通信機器メーカーとして誕生しました。戦後は電話交換機や無線通信機器の開発を進め、1960年代には国産コンピュータ「FACOM」シリーズを展開し、日本の情報化社会の基盤を築きました。FACOMは1954年に開発された国産初のコンピュータで、電話交換機のリレー技術を応用し、通信と情報処理の融合を実現。金融や公共分野で広く活用され、富士通のIT基盤の礎となりました。1980年代にはパソコン市場に参入し、グローバル展開を加速。1990年代以降はITサービスに軸足を移し、クラウド、AI、IoTなど先端技術を活用したソリューション提供を強化しました。さらに、富士通は理化学研究所と共同でスーパーコンピュータ「富岳」を開発し、2021年に完成。「富岳」は世界最高水準の性能を誇り、創薬、津波予測、感染症対策など多様な分野で活用され、社会課題の解決に貢献しています 。2020年代には企業の成長と社会課題の解決を両立させることを目的とした事業ブランド「Fujitsu Uvance」を掲げ、環境・社会課題の解決を目指す事業戦略を推進。Uvanceとは「Universal(普遍的)」と「Advance(前進)」を組み合わせた造語で、「すべてを持続可能な方向へ前進させる」という意味が込められています。テクノロジーを通じ、持続可能な未来の実現に貢献する企業として、今後もさらなる成長が期待されます。
※記載の銘柄は当該投資信託の組入銘柄の一例であり、当該銘柄の購入を勧誘するものではありません。また将来の運用成果を示唆・保証するものでもありません。
広報Picks!

20周年記念スペシャル対談
20周年特設サイトでファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子さんと当社代表取締役社長園部の対談「セゾン投信 20年の軌跡/これからの20年」を公開しています。
対談では、これまでの20年間の歩みを振り返るとともに、これからの資産形成や長期投資のあり方、資産作りにおける大切な考え方について語り合っています。
ぜひご覧ください!

セゾン資産形成の達人ファンド5,000億円、運用資産総額1.2兆円
2026年6月17日にセゾン資産形成の達人ファンドの純資産総額が5,000億円に到達し、同時に3ファンドの合計となる運用資産総額も1.2兆円となりました。

| 純資産総額 | 5,007.8億円 |
|---|---|
| 基準価額 | 58,460円 |
| 設定来騰落率 | 484.6% |
(2026年6月17日時点)