2026年9月号 Vol.234
目次
今月のひとこと

Vol.234
「今回は違う(This time is different.)」に向き合う長期投資の視点
AIや半導体への期待が高まっています。こうした局面で思い出したいのが、投資の世界で繰り返し語られてきた「今回は違う(This time is different.)」という言葉です。新しい技術が社会を変えることと、その投資対象が適切な価格で十分なリターンを生むことは、分けて考える必要があります。市場の盛り上がりと少し距離を置きながら、変化の本質と投資判断の軸について考えていきます。
なぜ「今回は違う」に注意が必要なのか
大きな技術革新や社会変化が起きる局面では、目の前で起きている変化の大きさに目を奪われ、「従来の尺度では測れない」「新しい時代が始まった」と感じることがあります。しかし、長く資産運用を続けるうえでは、そのようなときほど少し立ち止まって考えることが大切です。
これは、市場から退避すべきだと申し上げたいわけではありません。相場には上昇も下落もあり、その値動き自体は避けられないからです。大切なのは、熱狂のなかでも冷静な判断を保ち、長期の資産運用にふさわしい投資行動を継続できているかを確認することです。
「社会を変える技術」と「魅力的な投資対象」であることは、同じではありません。
歴史が教える熱狂との向き合い方
歴史を振り返ると「今回は違う(This time is different.)」という言葉は何度も登場してきました。
1999年から2000年にかけてのITバブルでは、インターネットやブロードバンドの普及で世界は大きく変わると言われ、実際に社会インフラになりました。
1960年代後半から1970年代初頭の米国では「ニフティ・フィフティ」と呼ばれる優良企業群(コカ・コーラ、IBM、マクドナルドなど)は今後も成長が続くと期待されましたが、熱狂が終わると株価は大きく調整しました。
新しい技術やサービスの誕生と普及は、社会にとって重要な変化をもたらしますが、過度な期待は価格の過大評価につながることがあります。
魅力的な成長ストーリーが先行すると、新規参入の増加によって競争も激しくなります。先行者が普及とともに主要プレイヤーではなくなる例も、過去に数多くありました。実際にスマートフォンではBlackBerryからiPhoneへ、検索エンジンではYahoo!からGoogleへと主役が交代しました。
メタバースも、分かりやすい事例です。2021年にフェイスブックが社名をメタへ変更し、大きな期待を集めましたが、現在では当時ほど大きな関心は示されていません。それでも、産業用途などを中心に開発や普及は少しずつ進んでいます。
これらの事例は、「技術の進歩」と「市場の期待」が必ずしも一致しないことを示しています。
期待を後押しする記事やレポートを見たとしても、長期投資を続ける私たちは、こうした熱狂と少し距離を置いて向き合うことが大切です。
期待と企業価値をどう見極めるか
では、投資家は何を基準に考えればよいのでしょうか。
その一つが企業価値の評価です。たとえば株価評価の代表的な指標の一つであるPER(株価収益率)を見てみましょう。S&P500のPERは、1970年代半ばから1980年代前半にかけて1桁台で推移する時期もありましたが、近年は15倍から20倍程度で推移することが一般的になっています。
PERの水準が切り上がった背景には、金利低下、インフレ率低下、産業構造の変化、確定拠出年金を中心としたパッシブ投資の拡大、自社株買いの定着、中央銀行による経済危機への対応力強化など、さまざまな要因があると考えられています。
では、今後も高いPER水準が一般化するからといって、楽観的な見方も正当化されるのでしょうか。私は、そう考えるのは現実的ではないと見ています。
高いPERが正当化されないと考える理由は主に三つあります。
① 金利環境
超低金利が当たり前だった時代から、一定の金利が存在する世界に移ったことです。長期にわたる金利低下局面では、低金利が理論株価を押し上げ、PERの上昇要因の一つとなっていました。しかし、一定の金利がある世界では、その追い風は以前ほど期待できません。
② 益回り
益回りはPERの逆数で、株価に対して企業がどれだけ利益を生み出しているかを示す指標です。
PER15倍なら6.6%、PER20倍なら5.0%、PER40倍なら2.5%となります。PER40倍とは、現在の利益水準が続くと仮定した場合、約40年分の利益を織り込んだ評価と捉えることができます。
もちろん企業は成長しますが、国債など他の投資対象にも利回りが存在する環境では、高いPERを正当化するためには、高い利益成長が必要となります。
③ 成長率の限界
どれほど優秀な企業であっても、事業規模の拡大に伴い成長率が徐々に低下する傾向があります。その局面では、市場から高いPER評価を受け続けることは難しくなります。
いま守りたい長期投資の軸
私たちがお客さまにお伝えしたいのは、短期的な相場の上げ下げを予測することではありません。大きなテーマが注目される局面ほど、「投資目的」「投資期間」「リスク許容度」を改めて確認し、無理なく続けられる資産形成の軸を守ることが大切です。
この考え方は、私たちの商品づくりや運用姿勢にも一貫して表れています。
だからこそ、流行りのテーマを追いかけるのではなく、長期的な視点で資産形成に向き合い、これからも継続できる投資を選ぶことが重要だと考えています。
セゾン共創日本ファンドでは、個別の企業を丁寧に調査したうえで、厳選してポートフォリオを構築しています。セゾン資産形成の達人ファンドであれば、世界中から私たちの投資方針に合うファンドを見出して投資します。また、セゾン・グローバルバランスファンドでは、世界の株式市場に対応するインデックスファンドと、信用力が高いとされる先進国の国債でポートフォリオを構成しています。
「今回は違う(This time is different.)」という言葉が聞こえるときこそ、セゾン投信の姿勢は変わりません。
技術の進歩と投資の成果は必ずしも同じではないからこそ、時代の変化を見つめながらも、自らの投資の軸を見失わないことが重要です。
私たちはこれからも、お客さまの長期的な資産形成に資する運用と商品提供に努めてまいります。時代の変化を見つめながらも、資産形成の軸を守り続けること。それこそが、長期投資において何より大切な姿勢だと考えています。
※本稿は市場環境や投資に関する考え方をご紹介するものであり、特定の銘柄、業種、市場動向への投資を推奨するものではありません。また、将来の市場動向や運用成果を示唆または保証するものではありません。
特集

新プロジェクト「My Bloom」始動! Instagram「とことこ」を開設
妊娠・出産や子育てを経験した社員たちの実体験から生まれた「My Bloom」プロジェクト。収入や支出の変化など想定外の現実に直面し、「もっと早く知っておきたかった」と感じた経験をもとに、自分らしい資産形成を考えるきっかけを届けたいという想いで立ち上げました。
子育て中のママパパ社員が、教育費や家計管理などの実体験を発信。コミュニティやイベントを通じて、お金との向き合い方や備えについて考える機会を届けます。
※2026年9月上旬より運用開始予定


投資クイズ100本ノック

近年、各地でクマの出没が相次いでいます。実は、株式市場にもクマに関係する用語があるのです。
Q. 株式市場で「ベア相場」とはどのような状態を指すでしょうか。(難易度:★★)
- 相場が上昇する傾向が続く状態(強気相場)
- 相場が下落する傾向が続く状態(弱気相場)
- 相場が大きく上下を繰り返す不安定な状態
A. 2
ベア相場とは、クマがつめを上から下へ振りおろす動作になぞらえて、相場が下落する状態や弱気相場を表す用語です。
いっぽう、選択肢1の「強気相場」はブル相場と呼ばれます。ブル相場とは、雄牛が角を下から上へ突き上げる動作になぞらえて、相場が上昇する状態や強気相場を表します。そのため、雄牛は金融の世界で縁起物とされています。
相場は上がることも下がることもありますが、長期の資産形成では相場に一喜一憂せず、積立投資を続けることが大切です。
〈セゾン共創日本ファンド〉銘柄のご紹介

投資先企業を、セゾン共創日本ファンド ポートフォリオマネージャー岩下が独自の視点でご紹介いたします!
村田製作所
株式会社村田製作所は、京都府長岡京市に本社を置く世界有数の総合電子部品メーカーです。
1944年に創業者・村田昭氏により陶器製品の町工場として始まり、1950年に法人化されて以降、セラミック技術を基盤とした電子部品の開発・製造・販売へと事業を拡大してきました。主力製品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)*1は世界トップクラスのシェアを誇り、インダクタ(コイル)、EMI除去フィルタ*2、各種センサー、高周波部品、通信モジュール、電源モジュールなど幅広いラインナップを展開しています。材料開発から製造までの一貫生産体制により、高品質・高性能な製品を安定して供給できる点が大きな強みです。
また、海外売上比率は90%超と極めて高く、世界中のスマートフォン、自動車、産業機器、医療機器、IoTデバイスの内部で不可欠な存在となっています。
さらに、自動車の電動化・高度化、5G/6G 通信、エネルギー分野などの成長市場に向けた研究開発を積極的に推進しており、エレクトロニクス社会を支えるグローバル企業として進化を続けています。
*1 積層セラミックコンデンサ(Multi -Layer Ceramic Capacitor)は、複数の誘電体層と電極層を交互に積層した構造を持つ電子部品で、電子機器内部で電気を蓄えたり、ノイズを抑えたりする用途に広く用いられます。
*2 EMI 除去フィルタは、電子機器の電磁ノイズ対策を行うための電子部品です。
※記載の銘柄は当該投資信託の組入銘柄の一例であり、当該銘柄の購入を勧誘するものではありません。また将来の運用成果を示唆・保証するものでもありません。
広報Picks!

セゾン共創日本ファンド運用報告会
2022年2月に運用を開始したセゾン共創日本ファンドは、おかげさまで2026年6月10日に第5期決算を迎えることができました。
このたび、第5期(2025年6月11日~2026年6月10日)の運用状況についてご報告する「運用報告会」を開催いたします。
プログラム
- 社長が語る、セゾン投信のこれから(代表取締役社長 園部 鷹博)
- ポートフォリオマネージャーが語る、第5期運用報告(セゾン共創日本ファンド ポートフォリオマネージャー 岩下 理人)
- 皆さまからのご質問にお答えします
開催日時・場所
- 2026年10月03日(土)10:00~12:00 大阪
- 2026年10月17日(土)10:30~12:30 東京およびオンライン

3ファンドサンクスキャンペーン(9/1スタート)
3つのファンドを保有し、定期つみたてをご利用いただいているお客さまへ、感謝の気持ちを込めて特典をご用意しました。本キャンペーンは、2026年9月1日から2027年4月30日まで実施いたします。
条件を満たしたお客さまに、現金1,000円を進呈
条件:判定日時点で、以下の条件をすべて満たしていること
- 当社3ファンドすべての残高を保有していること
- 当社3ファンドのうち、いずれか1ファンド以上で
定期つみたて設定があること
※キャンペーン開始時点で条件を満たしていない場合でも、キャンペーン期間中に上記条件を満たせば対象となります。
