短期金利と長期金利 初心者向けに違いをわかりやすく解説
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こんにちは!気になる金融の“あれこれ”を発信するコラム「〇(まる)の部屋」の“まるこ”です。
よく耳にする「金利上昇」という言葉。「それって良い事、悪い事」と聞かれると、ちょっと迷ってしまう、あるあるです。
金利にはいくつかの種類があります。そのため、一言で金利上昇といっても、その背景や私たちへの影響が異なります。
そこで今回は、金利のキソになる「短期金利」と「長期金利」について、その仕組みや違いを確認し、どう考えるのがいいのか?を、初心者向けにやさしく解説していきます。
※本コラムの内容は、各種報道をもとにセゾン投信が作成したものです。
金利のキソ「短期金利」と「長期金利」
まずはキソのキソ、「金利」が、何を意味しているのかから確認していきましょう。
わかっているようでわからない「金利」とは
まず、お金の貸し借りの対価として発生する金額が「利息」(利子)で、その利息の割合が「金利」(%)です。
利息を、元本(元金)に対する「お返し(御礼)」と考えると、イメージしやすいかもしれません。
- 銀行にお金を預けると利息がもらえ、
- 銀行からお金を借りると利息を支払う
という関係です。
ちなみに、貸し借りに対価を払うという考え方は昔からあり、日本でも8世紀ごろには、種もみを貸して利子をつけて返す「出挙(すいこ)」が行われていたようです。
このように、金利は私たちにも身近な数字、概念です。
でも、ちょっとわかりづらいのは、種類がいくつかあるからかもしれません。
まず、基本となる「短期金利」と「長期金利」、そして、その違いを確認しましょう。
短期金利と長期金利を知ろう!
貸し借りの対価である金利は、期間の長さによって分けて考えられます。
一般的には、以下の2種類があります。
短期金利…1年未満の貸し借りに対する金利
長期金利…1年以上の貸し借りに対する金利
この2つの金利は単に取引期間が短い・長いというだけでなく、使われる取引や、水準の決まり方が異なる点がポイントです。
<短期金利・長期金利対比表>
| 短期金利 | 長期金利 | |
|---|---|---|
| 取引期間 | 1年未満の貸し借り | 1年以上の貸し借り |
| 影響するもの(例) |
|
|
では、ここから、短期金利→長期金利の順で、水準の決まり方を含めて詳しく説明していきましょう。
短期金利と日銀の深イイ関係
まず、預金の金利は、「短期金利」をもとに決まっています。
そして、この短期金利の動きの背景には、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)の存在があるんです。
日本銀行(日銀)とは?
日銀(にちぎん)は「銀行」という名前がついていますが、私たちが直接お金を預けたり、預金口座を持ったりすることはできません。
日銀が、私たちの預金金利や短期金利を直接決めているわけではありません。
それでも、短期金利や預金金利の話に日銀が登場するのはなぜでしょうか。
それは、短期金利・預金金利と、日銀、そして日本の景気が、互いに深く関係しているからです。
短期金利と日銀・日本の景気は関係している
日銀の主な役割のひとつは、物価や金融システムを安定させることです。
そのため日銀は、日本の景気の状況にあわせて「今の短期金利は、このくらいの水準が望ましい」という目安を持っています。
日銀は、この水準に近づけるために、自分で直接短期金利を動かすのではなく、一般の銀行の間のお金の取引に働きかけるなど、間接的な方法を使って、短期金利に影響を与えています。
この目安となる水準が、「政策金利」といわれます。
利上げ・利下げとは?
ニュースなどでよく聞く「利上げ」「利下げ」は、この政策金利の水準を上げたり下げたりすることを指します。
その結果として短期金利が動き、私たちの預金金利や住宅ローンの変動金利にも影響が及びます。
短期金利が動く仕組み
日本の景気の状況
↓
政策金利
↓
短期金利
↓
預金金利など
景気がどんなときに日銀が「利上げ」「利下げ」するのか、は以下の図をご参考に。
このように、短期金利は、短い期間でのお金の貸し借りに使われる金利ですが、その水準には日銀の考え方が影響しており、その背景には、日本の景気の状況があります。
長期金利は「市場」が決める
短期金利は、景気を背景に、日銀の意向が強く影響する金利です。
一方、長期金利はどうでしょうか。
長期金利とは、期間が長め(代表的には10年程度)のお金の貸し借りに使われる金利のことです。
住宅ローンの固定金利などは、この長期金利をもとに決まっています。
この長期金利の大きな特徴は、国債が取引される市場の中で決まっている、という点です。
長期金利は10年国債の利回り
長期金利の代表は、「10年金利」で、10年国債の利回りで示されます。
利回りは、価格によって変化し、その債券の収益性を示す数字(%)ともいえます。
私たちに馴染みのある個人向け国債は市場で売買されませんが、これはむしろ例外。
一般的な国債は市場で売買され、満期までの間に価格が変動します。
同じ債券であれば、安く買うほど収益性が高くなる(=利回りが高くなる)
逆に、高く買うほど、収益性は下がる(=利回りは低くなる)
債券価格と利回りはシーソーゲーム!?
このように、債券価格と利回りは逆の動きをします。
片方が上がればもう一方は下がる。まるでシーソーのような関係です。
債券市場の価格は人々の思惑でも動く
国債の価格は、需給の状況や金利の見通しなど、さまざまな要因で変動します。
結果として、長期金利は市場≒国債の取引市場での価格が、その水準を決めるようなもの。
その中には、時に人々の思惑、期待や不安が含まれる点が、短期金利と違っているといえそうです。
私たちにとって金利上昇は良い事、悪い事?
「金利が上がる」と聞くと、不安に感じがちかもしれませんが、私たちの生活にプラスに働く面もあります。
でも、影響の仕方は、短期金利の上昇なのか、長期金利の上昇なのかによって、少し違ってきます。
ここからは、それぞれの金利上昇を分けて見ていきましょう。
短期金利の上昇は景気回復の兆し
まずは、短期金利の上昇から見ていきましょう。
日本は長らく、デフレ(デフレーション)の時代を続けてきました。
物の値段が下がり、経済が元気を失っていたため、日銀は、景気を下支えする目的で、「利下げ」により、マイナス金利を含む超低金利政策を続けてきました。
でも、近年、やっと経済が少しずつ持ち直し、日銀は、マイナス金利から金利を元に戻していく「利上げ」を行い、「金利の正常化のプロセス」が進んでいます。
「預金の金利がちょっと良くなったわ、わくわく!」という変化の背景には、こうした日銀の取り組みと、日本の経済がある程度回復してきたという背景があるんですね。
今、短期金利があがり、預金金利があがってきているのは、経済が持ち直してきたひとつの兆しと捉えることもできそうです。
心配される長期金利の上昇
一方で、最近ニュースなどで話題になる「金利上昇」は、長期金利の上昇を指していることが多いようです。こちらは少し気にして見ておきたい動きです。
長期金利は、住宅ローンの固定金利などに影響する金利ですが、前述の通り、市場の考え方の影響を強く受けます。
現在の長期金利の上昇は、「金利がある時代」に戻っていく過程で起きている面もありますが、加えて、財政への懸念といった市場の思惑が意識されている点もあります。
財政懸念とは、いわば国の家計が赤字になって、借金が増えて返せなくなってしまうのでは、という不安です(ちなみに、国の借金は、国債という形でお金を借りることを指します)。
“景気刺激策としての国の支出拡大”や“物価高対策としての減税の方針”発表を受けて、「赤字が拡大するのでは」「国債が増発されるのでは」といった見方が広がり、その「先回りの不安」から、国債が売られ、価格が下がっています。
その結果として、長期金利が上昇している、という構図です。
でも、現時点では、実際何かが起きているわけではありません。
「そうなるかもしれない」という市場での見方が広がっている、あるいはそのような思惑での動きがあるという段階です。
あくまで「懸念」や「見通し」が先に動いているといるわけですね。
メリットかデメリットかは「立場次第」
ここまで見てきたように、金利上昇は、単純に「良い」「悪い」と言い切れるものではありません。
- 預金をしている人にとっては、プラスに感じられる
- ローンを利用している人にとっては、負担に感じられる
このように、金利上昇は、「預ける人」にとってはメリットがあり、「借りる人」にとっては注意が必要な面もある。そんな“両面をもつ変化”といえそうです。
だからこそ、金利のニュースを聞いたときには、「これは短期金利の話?それとも長期金利の話?」と、まず整理して考えてみることが大切です。
まとめ:金利上昇と上手につきあうために
金利が動く背景には、経済の状況や、日銀の政策、市場の見方など、さまざまな要因があります。
金利上昇は、私たちの生活やお金の環境が変化しているサインでもあります。
その変化を正しく知ること。その上で、自分の立場に照らして考えていくことが、これからの時代には、より大切になっていきそうですね。
今回の〇の部屋はここまでとさせていただきますが、また機会があれば、「金利が家計にどう影響するのか」といったテーマもお伝えできればと思います。
ぜひ、またお立ちよりください。
(まるこ)
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ライタープロフィール
まるこ
全国津々浦々、年間400件を超える勉強会やセミナーで資産運用の本質を伝え、いまやセゾン投信のベテラン社員に。バブル崩壊にリーマンショック・コロナショックなど金融業界の荒波にもまれつつ、投資信託はもちろん、債券・株式・為替・リートなど様々な金融商品の開発・販売を経験。執筆は初挑戦ながら、経験から培った専門的知識と持ち前のおせっかい気質で金融トレンドやお役立ち情報を発信していきます。応援よろしくお願いします。
