速報!米国債、大手格付機関が最上位から格下げ! 理由は財政赤字拡大など!トランプ減税に逆風か?

こんにちは!「〇(まる)の部屋」 の“まるこ”です。 本日は、先週16日(金)の米国債格下げを受けての速報になります!
今回のコラムの内容は、各種報道をもとにセゾン投信が作成したものです。今後新たな情報等により状況が変化することもあります。
米国債とは?格付けとは?経済に与える影響とは?知っているようで知らない用語をまるっと解説します。
~今日のお品書き~
米国債格下げとは?
5月16日(金)、3つある大手格付機関の一つが、米国債の格付けを最上位レベルから格下げすると発表しました。正確に言えば、米国の長期発行体格付けと無担保優先債格付けを1段階下げたということですが、事実上、米国債の格付けが引き下げられた、と捉えればわかりやすくなります。
米国債とは?
米国債とは、アメリカ合衆国財務省(U.S. Department of the Treasury)が発行している債券です。債券は、いわば借金が流通しているようなもの(有価証券)。国が発行体(≒借金をする人)になってお金を調達(≒借金)するために発行するもの(有価証券)が国の債券、国債です。日本国の債券だと日本国債、米国の債券だと米国債と呼ばれます。
格付けとは?
債券の発行は借金をすることですから、私たちがお金を借りるときと同様に、利子を払って、満期に元金(額面金額)を返済することになります(※一般的な場合で、これに限りません)。逆にお金を貸す側(債券引受者・購入者)からみると、きちんと利払いしてくれて、元本を返済してくれるかが気になりますね。
格付機関は、その発行体の債務返済能力や安全性を示す信用格付けを提供している機関です。格付けは、一般的にアルファベットのAを3つ並べた「AAA/Aaa」(トリプルエー)が最上級の格付けで、債務返済能力が非常に高く、安全性がもっとも高いという評価を示します。
(ご参考)格付けの例

一般的な格付けのイメージ:アルファベットと「+、-」「1、2、3」などの記号の組み合わせにより表示されます。 ABCの中ではAが上位、同じアルファベットではトリプルが上位、1、2、3がつく場合は1が上位となりますが、小文字表記を含むなど表示等は格付機関ごとに異なります。
セゾン投信による
格下げって大変なこと?
今回格下げをした格付機関は、最上位のトリプルエー(Aaa)から1段階引き下げてダブルエーワン(Aa1)という格付けにしました。
実は、他の大手格付機関はすでに2023年には、米国(債)の格付けを最上位から1段階引き下げていましたし、格下げといっても最上位から2番目になっただけです。夜逃げしそう!といった信用不安(債務不履行が発生する状況)ではまったくないわけです。
今回の格下げの要因として、
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10年以上にわたって連邦政府の支出が拡大していること
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減税によって歳入(いわば収入)が減少したこと
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関税戦争の影響で米国の景気が減速すれば、さらに政府支出が増加すること
→これらなどにより財政赤字が増え、さらに拡大が見込まれること -
金利上昇による、利払いの負担の増加
が上げられていますが、一方、長期的な見通しについては「安定的」とも述べています。
トランプ政権が恐れるのは金利上昇!
格下げで想定されるもっとも痛い影響は金利上昇です。
米国政府筋は、この格付機関のエコノミスト(分析担当者)をトランプ大統領の政敵で、いつも間違っている!などと反論をしているようですし、米政府が裏付けする国債がトリプルエーでないとしたら、何がトリプルエーなのか、といった批判も見られます。
まるこの個人的な想像になりますが、トランプさんはプライドを傷つけられて、顔を真っ赤にして大憤慨しているかもしれません。
とはいえ、本当に痛いのは、金利上昇です。
これまた借金で考えるとわかりやすいのですが、信用力の高い人ほど有利な金利(相対的に低い金利)でお金を借りやすい、一方、信用に問題があると、その分金利が上乗せされ高い金利が要求されるものです。
市場で取引されている債券の価格は、この信用力も加味して変動します。1段階とはいえ格下げとなれば、一般的に市場はその分、より高い金利水準を求めることになります。
すでに発行されて世の中で売買されている米国債は、その利率(元金に対して〇%といった年間の利子率)は決まっちゃっていますので、いまさら利率を変えるわけにはいきません。利率はそのままで、売買する国債の値段(価格)で調整することになります。
つまり、今回格付けが下がったことで、市場がより高い金利水準を求めれば、米国債の価格が下がることになります。
今回の格下げは、5月16日(金)の夕方、市場の参加者が少ない時間帯に発表されたようですが、米国債を売る動きが広がり、長期国債の価格は下がり、長期金利は上昇したようです。
市場の長期金利が上昇すれば、今後米国が、借り換えも含めて米国債を発行して、お金を調達したいという時に、求められる金利が上昇することに繋がります。
すでに財政赤字(国の収入より支出が多い状態)が拡大している状況で、さらに高い金利で借金し続けることになれば、それはトランプ政権にとっても大きな負担・トランプさんが進めたい政策に対する逆風になりかねません。
減税法案に「NO」を突きつけた?格下げ発表
トランプ大統領と議会共和党(トランプさんの所属する党)は、5月2日(金)に減税法案を公表し、ホワイトハウスは16日(金)の公表文で「史上最大の減税になる」と説明していたところでした。
今回の米国債格下げは、トランプ大統領に、財政赤字を拡大させる無謀な税制優遇策の追求をやめるよう警鐘を鳴らすものだ!というコメントも聞こえてきています。
まさに、今回の格下げ発表は、トランプ政権が調整しようとしている減税法案に「NO」を突き付けた感があります。
さあ、どうするトランプさん!?ということで、ここからトランプ政権はさまざまな検討や調整をしていくことになると言われていますが、まるこが個人的に気になるのは、低所得層の支援が削減されてしまうっていう展開になることです。いつでも最初に影響を受けるのは弱い立場の人々になるのでは、と。その点も含めてこれからも、今後の動きをしっかりと見ていきたいと思います。
引き続き〇の部屋をよろしくお願いいたします!
(まるこ)\あわせて読みたい/