銘柄の正しい選び方や賢い買い方が知りたい!「初の投信」で失敗しないコツ

「つみたてNISA」や「iDeCo」といった制度について知ったことをきっかけに、投資信託の購入を検討し始めたという方もいるでしょう。その一方で、「投資信託ではどんな銘柄を選んだらいいの?」「銘柄を選ぶポイントがわからない……」と悩んでいる方も少なくないように思います。

結論から言えば、投資信託を選ぶ際は「投資対象資産は何か?」「ベンチマークの有無」「どのようなリスクをどの程度取っているか?」「運用コスト」「購入時手数料」「信託財産留保額」「安定運用できる信託財産残高があるか?」「大きな資金の流出はないか?」「過去の運用実績とその実績を残した運用者・運用チームの投資哲学・運用プロセス」「為替ヘッジの有無」「第三者である運用評価会社によるファンドの定量・定性評価」などに着目し、長期的なスタンスでコツコツ投資を継続することが大切です。また、分散投資を心がけるなど、リスクとリターンに関する知識も身に付けておきましょう。

今回の記事では、「初めての投資信託で失敗しない銘柄の選び方」やそのコツについて解説していきます。

目次

はじめに、投資信託の概要・やり方を押さえよう!

投資信託(ファンド)とは、不特定多数の投資家から収集した資金をひとまとめにし、「ファンドマネージャー」と呼ばれる運用のプロがそれらを株式や債券などに投資・運用する金融商品のことです。

投資信託とは

投資対象となる金融商品は、投資信託の運用方針に基づいてファンドマネージャーが選定します。分散投資・運用により得られた運用成果は分配金として各投資家に分配されたり、ファンドに再投資されたりする仕組みです。

自分の代わりにプロが金融商品の管理・運用を行ってくれるため、「どの資産に投資したらよいかわからない」と悩む投資初心者でも取り組みやすいでしょう。

投資信託の仕組み

投資信託の仕組み

投資信託には、主に次の3つの機関が関わっています。

  • 販売会社
  • 委託会社(運用会社)
  • 受託会社(信託銀行)

なお、委託会社(運用会社)と受託会社(信託銀行)には「投資信託契約」が締結されており、信託財産は他の財産と分けて個別に管理されています。そのため、投資信託に携わる各運営機関(販売会社、委託会社、信託銀行)のいずれかが万が一破綻しても、信託財産がなくなることはありません。

投資信託のメリット・デメリット

投資信託には、メリットもあればデメリットもあります。それぞれ確認していきましょう。

メリット1. プロに運用を任せられる

投資信託では、自ら金融商品を運用する必要がありません。管理から運用に至るまでをプロに任せられるため、選び方がわからない投資初心者の方はもちろん、運用にまとまった時間が取れないという方にも適しています。

メリット2. 分散投資でリスクを低減できる

投資信託は、投資先を複数に分散することで個別株式やFX(外国為替保証金取引)だけに投資するよりもリスクを低減できます。

株式投資で言えば、一点集中で1つの銘柄に投資してしまうと、投資先の企業が倒産したり価値が下落したりしたときに大きな損害を受ける恐れがあります。しかし、投資信託では以下3つの項目で分散投資が可能です。

  • 銘柄分散:1つの銘柄に投資するのではなく、複数に分けて投資する
  • 地域分散:さまざまな国や地域の資産に投資する
  • 資産分散:特定の資産に絞らず、複数の資産に投資する

性質や値動きが異なる複数の資産に分散投資することで、リスクを低減し、安定したリターンを狙いやすくなります。万が一の際に自分の財産を守るためにも、分散投資を心がけることは重要と言えるでしょう。

メリット3.少額から投資ができる

投資信託は少額から始められます。金融機関によっても異なりますが、一般的には最低1万円程度で商品を購入できるところもあり、予算に合わせて投資額を調整できるでしょう。

メリット4. 透明性が高い

投資信託は定期的に監査法人による監査(ファンドの有価証券報告書の記載内容の適正性をチェックするため、有価証券の実在性、取引記録、時価評価が適切に記録されているか、そしてそれらのための内部統制が機能しているかを監査する)を受けており、その運用状況を開示することも法令で義務付けられていることから透明性の高い資産としても知られています。また、取引価格となる基準価額が原則毎日公表されているため、新聞やWEBなどで値動きを確認することも可能です。

デメリット1. 短期で稼ぐことは難しい

投資信託は、短期的な投資やデイトレードには不向きです。投資信託の取引時の価格には「ブラインド方式」が採用されており、売買の申し込みをした時点では適用される基準価額が分かりません。

そのため価格を指定した注文が行えず、短期的な投資には不向きと言えるのです。

ブラインド方式とは?

投資信託の取引において、購入や換金の申し込み価額がわからない状況下で行われる方式のこと。申し込みの価額を前日の価額に設定してしまうと、基準価額の変動が生じた際に実際の純資産価額よりも低い金額で販売されたり、高い金額で換金されたりする恐れがある。既存の投資家の利益が阻害されることを防ぐため、このような方式が取られている。

銘柄の選び方、どうしたらいい?

商品概要や目的についてももちろん理解が必要ですが、長期投資に向いた銘柄を選ぶ際に意識したいポイントのうち、次の3つに注目してみましょう。

  • 運用期間
  • 運用規模
  • 為替ヘッジ

それぞれについて、具体的に解説します。

選ぶポイント1. 運用期間を意識する

投資信託ではあらかじめ運用期間が定められており、これを「信託期間」と言います。ファンドによって差はあるものの、長期投資を前提にするのであれば、信託期間が無期限のものを選ぶようにしましょう。

ただし、中には「信託期間無期限」と記載があるにもかかわらず、運用会社の都合で打ち切りになるケース(=繰上償還)も見受けられます。そういったファンドを選ばないために注意したいポイントを、次にご説明します。

選ぶポイント2. 運用規模を確認する

せっかく「投資したい」と思っても、運用会社の都合で打ち切り(繰上償還)になっては困ります。そのため、資金が順調に流入しているファンドを選ぶことも意識しましょう。資金流入が安定しているファンドというのは、「投資家から支持されている」という信頼度の判断基準になるため、一定の運用規模があるファンドを選びやすくなります。一定の運用規模の目安として、最低でも運用資産残高が50億円以上あるファンドをおすすめします。

そのほかにもコストや投資対象、ファンドマネージャーなど、一通りの項目に目を通した上で投資をするか否かの判断を下すことが大切です。

選ぶポイント3.(長期投資が前提の場合は)為替ヘッジなしを選ぶ

投資信託には為替ヘッジありとなしがありますが、長期投資が前提の場合は「為替ヘッジなし」を選ぶとよいでしょう。為替ヘッジとは、円高や円安のような為替の変動によって生じる損益を回避する(ヘッジ)こと。長い時間の中で、為替リスクは平均回帰していく傾向があります。また、為替ヘッジにはコストがかかっていることも知っておくべきでしょう。

そのため、為替ヘッジなしで投資をし、原資産の通貨を分散していくほうが合理的と言えます。

選ぶポイント4. 手数料が高い商品には気をつける

投資信託を購入し、売却するまでにはさまざまな手数料(費用)が生じます。

購入時 運用時 売却時

各手数料(費用)は投資信託によって異なるだけでなく、運用成績に関わらず支払わなければなりません。
また、投資信託には大きく分けて「アクティブファンド」と「インデックスファンド」という2種類があります。

アクティブファンド インデックスファンド

アクティブファンドは指数よりも大きなリターンが期待できる一方で、比較的運用管理費用も高めに設定されている商品も多くあります。一方のインデックスファンドは、信託報酬などのコストを比較的抑えつつ、市場平均と同等のリターンを期待できる投資信託です。

覚えておきたい、投資信託の賢い買い方

ここでは投資信託を買う上で覚えておきたいポイントを4つ、取り上げてみました。

積み立てでコツコツ買っていくことを意識する

投資信託ではすぐに結果を出そうとせず、少額でもコツコツと積み立てていくことが大切です。毎月少しずつ積み立てていくことで、市場の変動に左右されることなくじっくり資産を育てていきます。一度投資方針を決め、それに基づく積み立てを設定してしまえば、定期的に運用状況をチェックするだけで機動的に資産を動かす必要はないので、仕事や家事・育児で忙しい方でも取り組みやすいでしょう。

月次運用レポート・運用報告書を確認する

投資信託の銘柄を選ぶ際は、各種レポートや報告書のチェックが欠かせません。特に基準価額が大幅に変動したときは、「なぜそうした値動きになったのか」を月次レポートや運用報告書で確認しましょう。

基準価額とは?

投資信託の値段のことで、その投資信託における「その日の1口あたりの資産価値」を表す。基準価額は商品によって異なり、数千円から数万円の商品がある。いずれもスタート時点は「1口=1円」であり、1万口あたりの値段で公表される。

リスクがあることを理解する

投資である以上、投資信託にはリスクもあります。投資対象によって異なりますが、投資信託が持つ主なリスクは以下の4つです。

  • 価格変動リスク:投資信託に組み入れられている株式や債券の価格が変動するリスク
  • 信用リスク(デフォルトリスク):債券などを発行する国や企業が財政難や経営不振といった理由から、利息や償還金を支払えなくなるリスク
  • 為替変動リスク:為替変動によって生じるリスク
  • 金利変動リスク:金利の大幅な上昇によって債券価格が下落するリスク

参考:一般社団法人投資信託協会ホームページ

中でも、基準価額に大きく影響する「価格変動リスク」をはじめ、「為替変動リスク」や「金利変動リスク」には注意が必要です。

セゾン投信の取り扱いファンドを紹介

ここまで、投資信託における銘柄の選び方や買う際のコツについてご紹介してきました。セゾン投信でも、以下の3つのファンドを取り扱っています。

  • 【成長性と相対的安定性のバランス重視】セゾン・グローバルバランスファンド
  • 【より高いリターンに挑戦】セゾン資産形成の達人ファンド
  • 【日本を応援したい!】セゾン共創日本ファンド

それぞれの特徴について見ていきましょう。

セゾン・グローバルバランスファンド(つみたてNISA・NISA対象)

セゾン・グローバルバランスファンドの特徴は以下の4点です。

  • 資産配分比率は株式50%、債券50%
  • 国際分散投資
  • 低コストのインデックスファンド投資
  • 原則として為替ヘッジは行わない

このファンド1本で、世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資が可能です。また、投資する国や地域の割合調整はセゾン投信に任せられるため、時間がない方でも始められます。一方で、市場の予測に基づいた運用は行わないため、短期的な値上がりを求める方には不向きです。

セゾン資産形成の達人ファンド(つみたてNISA・NISA対象)

セゾン資産形成の達人ファンドの特徴は以下の4点です。

  • 株式に投資
  • 国際分散投資
  • アクティブファンドに投資
  • 原則として為替ヘッジは行わない

セゾン資産形成の達人ファンドでは、長期的な視点で個別銘柄の調査を行うアクティブファンドへの投資を通じて、世界の株式に分散投資することが可能です。また、投資対象ファンドへの資産配分比率は各地域の株式市場規模などを勘案し、長期的な視点で決定されます。価値に対して割安と考えられる株式に分散投資を行うことにより、リスクを抑えながら長期的に高いリターンの獲得が期待できます。

「インデックスファンドだけでは物足りない」「少し攻めた投資をしてみたい」といった方におすすめです。

セゾン共創日本ファンド(NISA対象)

セゾン共創日本ファンドの特徴は以下の3点です。

  • 長期厳選集中投資
  • 銘柄選択の基準
  • 受益者の皆さまと私たちとの対話

セゾン共創日本ファンドは、主に国内の金融取引所に上場している株式に投資し、信託財産の成長を目指して運用することを目的としています。また、長期的に利益が成長する可能性が見込まれる銘柄を厳選し、根気強く長期的に投資を行うのが特長です。

また、投資先企業や受益者との対話を重視しており、企業価値の向上と超過リターンの実現を目指しているファンドでもあります。能動的によりよい社会をともに創っていきたい方にはおすすめです。

投資信託は「コツコツ継続」が重要です!

今回の記事では、銘柄の正しい選び方や買い方のコツについてお伝えしました。投資信託を購入する際はリスクとリターンの特性を理解した上で、コツコツと継続して積み立てることを意識しましょう。

セゾン投信でも、つみたてNISAを取り扱っています。所有する資産に関する悩み、ライフイベントに関連するお金の問題について、疑問や不安を解消できる「顧客本位の相談室」を設けていますので、困ったことがあればお気軽にご相談ください。また、各種セミナーYouTube公式チャンネルでは、長期・積立・国際分散投資などに関するお役立ち情報もご覧いただけます。

興味がある方は、ぜひこの機会にご覧ください。

ライタープロフィール

織瀬ゆり

元信託銀行員。AFP・ 2級FP技能士や宅建士、証券外務員1種、内部管理責任者、生保・損保募集人など、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。